後処理を短くしましょう
コールセンタの鉄板「後処理を短くしましょう」
離職率が高く人が育たない、その原因は?!
採用された人たちの中には優秀なメンバーが紛れている。
彼女らは短い期間で仕事をマスターし一生懸命仕事に取り組み、数値目標にも積極的にチャレンジするハイパフォーマー成長する。
ここで次のステージが用意されていれば順調に成長していけるが、大抵はメンバーの倍ほどのパフォーマンスを出しながらそのまま放置されるか、もしくは管理者に推薦されるかくらいの未来しかない。
彼女らは要領がいい。だから効率がいい。
するとだんだんわかってくる。運用の問題点や管理者の未熟さが。
彼女らは改善点を管理者へ打診するなど積極的に働きかけるが、話は聞いてもらえたとしても一向に行動に移されないという現実に直面する。話した管理者が悪かったのかと別の管理者へ話を持っていくが結果は同じ。ならばもっと上の管理者にと対象を変えるが結局は誰に話をしても行動に移されることはない。
相手によっては「それはコミュニケーターの仕事じゃない」という時代錯誤な反応に面食らうこともある。大きな会社になると社内の相談窓口が用意されているところもあるが、結局は現場管理者に引き継がれ面談に現れた相手を見て「あぁ、この人がくるのか・・・」と意気消沈する。
そんな状況でもしばらくは何とかしようともがくが、やはり誰に話しても結果は同じで時間だけが浪費され次第に意欲を失っていく。
さらに、コールセンターが声の大きなお客様に対して例外対応をするのと同じように、管理者は建設的な意見より不満に対して敏感に反応する。パフォーマンスの結果に対しても“全員が一番”のような偽善的な態度をとる。
結局、どんなに頑張って結果を出しても意見を聞いてもらえるわけでもなく、もちろん待遇が変化することもないし、心理的な報酬を得られるわけでもない。このことは彼女たちにとって著しく理不尽で大いにやる気を失わせる。
つまり、バカバカしくなるのだ。
こうなった場合、選択肢は2つ。辞めるか、もしくはパフォーマンスを落とすか。
その結果、これまで彼女たちにけん引されて頑張っていた他のメンバーも同じようにパフォーマンスを下げ、何も考えず言われたことだけを遂行する低レベルで均一化された集団に整っていく。こうして主体性がなく処理効率の低いセンターが出来上がる。
優秀な人材はあなたの知らないところで打ちのめされ無力化されている。
こうして処理効率の低いセンターが出来上がるわけだが、効率が悪ければ当然上げなければならない。
この時に用いられるのが「インセンティブキャンペーン」だ。
しかし、そもそも効率の低いセンターは不満が多く疲弊しているため、お金でもヤル気にさせることは難しい。
一番大きな問題は、効率を上げる際に用いる手段がインセンティブキャンペーン以外ないことだ。すぐに手詰まりとなり、後は個別に面談し脅しをかけるしかなくなる。
特筆すべきことは、このような現状を改善する為に考案されるのは全てコミュニケーター向けの施策であることだ。大抵どこのセンターもコミュニケーターをテコ入れしようとする。コミュニケーターが変わればよくなると思っているしコミュニケーターを変えられると勘違いしている。
もちろん電話応対をしているのはコミュニケーターなのだから当然のことのように思えるが、レポート1でも記した通り効率が上がらないのには訳がある。
コミュニケーターは会社や管理者を信用していない。インセンティブキャンペーン・追加出勤・罰則的なルールの取り決めや就業規則の変更など、頻繁に打ち出される施策にもうんざりしている。
重ねて言うが、これらを実行するのはコミュニケーターだけである。
このような現場は管理者の資質や勤怠も極めて深刻な状況であるのに、罰則やルール変更に従うのはコミュニケーターに限られる。この現状は管理者・会社は自分たちのことは棚に上げ不公平で私たちのことを理解する気はないし、全部こちらの責任だと思っている、という怒りや諦め・不信感を更に強くさせる。
故に、どんなに素晴らしい施策も実施する前から9割がたの失敗が見えている。
そもそもコミュニケーターは自分たちに問題があるとは考えていない。レポート1に記した通り、自分たちは上司に恵まれず様々な事をやらされている被害者だと思っている。
実際にインセンティブキャンペーンは盛り上がらないし、でも止めると少し上がっていた生産性はすぐに下がる。追加出勤者など部分的な人を対象に行われる時給アップは最悪で、不公平感が漂い雰囲気を悪くしている。
そして最も絶望的な事は、この現実に気付いている管理者がいないということだ。だからどこのセンターでもコミュニケーターの質が問題の中心にあり、他に目が向けられない。
箱の中の現象として、
・相手が悪く見える
・自分は正しく感じる
・自分の問題に気づけない
等が上げられるが、まさにコールセンターは大きな箱の中だと言える。
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